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気ままに、まっすぐに~地産地消のパンと、子どもの夢を一緒に育てる「Minette」~

気ままに、まっすぐに~地産地消のパンと、子どもの夢を一緒に育てる「Minette」~

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米原市井之口にある小さなパンと焼き菓子のお店「Minette」。店主の池田茂美さんは、伊吹牛乳や地元の卵、地元の野菜など、地元の食材を使ったパンや焼き菓子を作り続けています。今回は、パン屋を始めたきっかけから、看板商品の誕生秘話、そして「息抜き」だという意外な趣味まで、たっぷりお話を伺いました。

デザインの仕事から、思いがけずパン屋へ

茂美さんは、パン屋になる前はデザインの仕事をしていました。結婚を機にさまざまな職を転々とし、梱包の仕事、医療事務、卒業アルバムを作る写真スタジオの仕事などを経験。そんな中、コロナ禍で学校行事がなくなり、写真スタジオの仕事を辞めざるを得なくなったことがきっかけで、なんとなく応募したパン屋で働き始めます。

そこで運命を変える出会いがありました。パン作りを教えてくれたトレーナーの女性を見た瞬間、「私はパン屋になる」と決めたのだそうです。出会ってわずか2、3日での決断でした。そこから近隣にあるいくつかのパン屋やカフェで経験を積み、3年前、自分の店「Minette」をオープンさせました。

店名の「Minette」は、フランス語で「子猫」という意味。井之口の地域猫たちのように、地元の人たちに愛される存在でありたいという思いが込められているそうです。お店のシンボルにも猫のモチーフが使われています。

「パンには終わりがないんです。」

「どんどん新しいこと、知らないことがまだまだいっぱいある。」

もともと「基本、飽き性なんです」と笑う茂美さんですが、パン作りだけは違いました。作れば作るほど広がっていく世界に、夢中になっているようです。

地産地消へのこだわり

Minetteのパンやお菓子は、国産小麦をベースに、伊吹牛乳、地元の卵、地元の野菜を積極的に取り入れているのが特徴です。天然酵母や米粉といった流行りの言葉にとらわれるのではなく、あくまで「地元の食材を使うこと」を大切にしています。地元のタケノコを使った季節限定パンなど、地域の恵みをそのままパンに落とし込むスタイルは、Minetteならではの個性になっています。

看板商品は、よもぎ生地にあんことバターを挟んだ「よもぎあんバター」。ある日、ふと思いついて試作したものを近くのお店に試食として持って行ったところ大好評となり、そのまま人気商品として定着しました。イベントに出店すれば必ずと言っていいほど完売する、Minetteの顔ともいえる一品です。

伊吹大根、逆風を越えて愛され続ける一品

地産地消への思いは、伊吹大根を使った商品にも表れています。伊吹大根を豚肉で巻いて揚げた一品は、あるイベントで「これはとんかつじゃない」というSNSでの指摘を受け、茂美さんはすっかり気持ちが沈んでしまった時期がありました。

それでも、周りの仲間たちに励まされながら「大根バーガー」として名前を変えてイベントで再販したところ、しっかりと売れて、ファンもついていることが分かりました。地元の食材にこだわった発想はたった一人の声に負けるものではなく、応援してくれる人の方がずっと多い——そのことを実感したエピソードです。茂美さん自身は正直なところ少し複雑な思いも残っているようですが、美味しいと言ってもらえることは嬉しく、そして何より「作ってほしい」という周りの声に背中を押されて、伊吹大根を使った商品を季節の名物として復活させてくれるかもしれません。

「気まま」がMinetteらしさ

Minetteの営業スタイルは、まさに「気まま」という言葉がぴったりです。予約が入っている日は身動きが取れなくなってしまうため、あえて予定をぎっしり詰め込まないようにしているという茂美さん。イベントへの出店やお店での販売も、無理に手を広げず、自分のペースを守ることを大切にしています。

「気ままなパン屋さんでいいと思う」

そんな話が出ると、茂美さんも「それでいいです」と笑顔でうなずきます。売り上げを大きく伸ばすための派手な展開よりも、自分が心地よく作り続けられるバランスを大事にしている——そんな飾らない姿勢こそが、Minetteの温かい魅力になっています。

「やめようと思えばいつでもやめられる」、それでも作り続ける理由

パン作りについて茂美さんに聞くと、こんな言葉が返ってきました。

「別にやめようと思ったらいつでもやめられるんです」

一見あっさりとした発言ですが、その裏には、パン作りへの深い愛着があります。実際に話を聞いていくと、新しいメニューのアイデアが次々と浮かび、材料を買い集めては形にしていく——そんな創作意欲が尽きることはありません。黒糖とレーズンを使った食パンや、地元食材を使った新作など、思いついたらすぐに手を動かしてしまう。やめようと思えばやめられるはずなのに、気づけば新しいパンが生まれている。その姿からは、パン作りが好きで好きでたまらない様子が伝わってきます。

たとえば、伊吹牛乳をたっぷり使った黒糖レーズンの食パンは、美味しさに自信がある一方で、材料費の高さから価格設定に頭を悩ませているのだそうです。そこで今、新たに取り組んでいるのが天然酵母。流行を追いかけてのことではなく、無理のない価格でお客さんに届けるための工夫として、天然酵母を育てているといいます。こうした試行錯誤からも、より良いパンを届けたいという茂美さんの思いが伝わってきます。

続けることの大切さを子どもに伝えたい、という思いも、パン作りを続ける原動力のひとつだと言います。「やりたい、やりたい」で終わらせず、実際に手を動かして続けていく背中を見せたい——その思いが、日々のパン作りを支えています。

そんな茂美さんのパワーソングは、YOASOBIの「祝福」。この曲を聴いてひとり静かに自分を奮い立たせているのだそうです。人前に出るのは苦手、目立つのも得意ではないと語る茂美さんらしく、そうした胸の内はあまり表には出てきません。ふとした拍子にのぞく、そんな一面もまた、気ままなパン屋さんの魅力のひとつなのかもしれません。

子どもと一緒に見つけた、もうひとつの喜び

パン作り以外の楽しみを尋ねると、茂美さんは「子ども」と答え、その先に少し意外な世界が広がっていました。夏になると子どもと一緒に虫捕りに出かけ、捕まえてきた虫を丁寧に標本にしているのだそうです。取材の場に見せてくれた標本は、思わず「本格的」と声が上がるほどの完成度。すでに3回の個展を開き、去年は米原市のグリーンパーク内にある「ビートルランド」で1年間展示してもらったこともあるといいます。

きっかけは、息子さんの「米原に昆虫館を作りたい」という夢でした。標本作りはもともと茂美さん自身の趣味だったわけではなく、子どもと向き合い、その夢に寄り添っていく中で見つけた喜びです。「子どもの夢が私の夢」と語る茂美さんの言葉からは、子どもに頼まれて仕方なく付き合っているのではなく、子育てそのものを心から楽しんでいる様子が伝わってきます。パン作りと標本作り、どちらが面白いか尋ねると「どっちも面白いです」ときっぱり。ものづくりが好きという根っこは同じでも、そこには子どもと一緒に育んできた時間が重なっています。

そんな茂美さんが陰で支えてきた成果は、子どもたち自身の活躍にもつながっています。息子さんたちによる標本展が顔戸の近江学びあいステーションで開かれ、地元紙・滋賀夕刊にも取り上げられました。茂美さんの母としての関わりが、着実に子どもの力になっている証と言えそうです。

これからのMinette

大きく手を広げるのではなく、これまでと同じように、地元のイベントへの出店やお店での販売を続けながら、思いついたアイデアを少しずつ形にしていく——それが、茂美さんの描くこれからのMinetteの姿です。子どもの夢を応援しながら、自分自身も心から楽しんで作り続ける。気ままだけれど、地産地消へのこだわりだけは決して曲げない。そんな茂美さんの人柄がそのまま詰まったパンを、これからもぜひ味わってみてください。

Minette

■ 店舗情報

米原市井之口にある、地産地消にこだわったパンと焼き菓子のお店「Minette」。店名はフランス語で「子猫」を意味し、地域猫のように地元の方々に愛される存在でありたいという思いが込められています。伊吹牛乳や地元の卵、地元野菜を使ったパンのほか、看板商品「よもぎあんバター(予約限定販売)」や季節限定の伊吹大根を使った商品が人気です。店頭での販売の他、イベントなどにも出店しています。営業日、出店イベントなどはInstagramをご確認ください。

Minette

住所:〒521-0234 滋賀県米原市井之口578

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