米原市米原で福祉用具の販売・レンタル事業をされているケア・オブ・クローバー株式会社の代表 中村真理さんにお話しをお伺いしました。
お仕事を始めたきっかけ
中村さんは様々な方を助けるお仕事をされていたお父様の影響で、子どもや地域のための支援・相談業務に興味を持ち、京都の身体障害者施設に就職されました。18歳~70歳までの利用者さんを介助する中で、人は年齢に関係なく可能性を秘めていることに感銘を受けたそうです。
その後出産を機に施設を退職され、共同経営でケア・オブ・クローバー株式会社を設立。
当時募集されていた米原SOHOビジネスオフィス(※)に3年半入居した後、地域に根差したビジネスがしたいと、米原市米原で事業所を構えて営業されています。
※米原SOHOビジネスオフィスは、起業して間もないSOHO事業者の活動拠点として滋賀県が設置したビジネス・インキュベーション施設。
最初は、インターネット上での福祉用具の販売・レンタル事業から始められました。
「インターネットを通じて行うことで、利用者さんが時間に縛られずに、排泄ケアなどのプライベートなことでも顔が見えないからこそ相談できると考えたからです。」現在もネットショップは運営中です!
みんなが働きやすい職場に
今は中村さんと娘さん、従業員2人の4人で業務を運営。一人は育休取得中ですが、女性が無理なく働けるよう制度を活用し、従業員を大切にされています。「現在のお客さんの数は、ちょっと少ないかなと思いますが、無理なく残業もなく働ける範囲にしたいんです。」
中村さんは、介護の仕事に情熱を持ち、技術の向上を奨励されています。また、地域に貢献したいと考え、米原で介護福祉の勉強会を開催し約60人の人材を育成されてきました。
また、10年前、20年前とは技術・知識変わってきているため、ご自身も勉強に励まれています。
「昔と比べて、介護福祉に関わる設備や道具は変わってきていて、制度も整い働きやすい職場になっていますよ。」
中村さんの事業に対する思い
「介護保険の制度がない部分を補いたいと思って仕事をしています。ただ、利益追求は難しいんですが(笑)」
中村さんは、おむつの当て方等のちょっと疑問に思っていることや、なかなかお話できない介護に関するご家族のお悩み、福祉用具の点検を兼ねた一人暮らしの安否確認等のサービスをより充実させて提供したいと仰っていました。
そして介護福祉という仕事については、
「介護の仕事は技術の進歩等で軽減されるかもしれないけど無くならないと思います。介護に携わる人には、技術を身に着けるともっと楽にできると伝え、仕事を面白いと思ってほしい」と熱く話していただきました。
「利用者さんにとっては、養護施設にいたときに、誰に出会って誰に介護されるかで、人生が変わります。」という責任感を持ちながらも、
「“ケアするものがケアされる”という言葉があるように、ケアすることで自分自身が癒されると感じます。勉強したことが活かせて、利用者さんが元気になってくれたり表情が良くなったり変化していくのを見ると、こちらの一方的なものではないなと嬉しくなります。」と仕事の喜びを笑顔でお話されていました。
良い介護施設の見分け方
介護福祉のお仕事に長く従事されている中村さんに、中村さん視点の良い福祉介護施設の見分け方をお伺いしました。
「施設に入ったときの匂いで分かります。ちょっと匂いが気になる施設は、おむつの交換回数を減らしてるんじゃないのかな、と思ってしまいます。良い施設なら換気もしっかりされています。また利用者さんの目ヤニが付きっぱなしだと、気が付いてくれる介助さんがいないのかなと感じます。」※中村さん個人の意見です。
会社のロゴマーク「クローバーちゃん」へ込めた思い
会社で使用しているロゴマークは、社名にも入っている“クローバー”をキャラクターにしたものです。キャラクターの頭の形は次の4つの“C”が表現されています。
「Clover(ケア・オブ・クローバー株式会社のクローバー)」「Care(ケア)」「Communication(コミュニケーション)」「Consideration(コンシダレーション・思いやり)」
「可愛いキャラクターを見ることで、いろんな世代の方に話題にしてもらって、介護はなくならないから当たり前のこととしてとらえてほしい。」とマークに込めた思いを語っていただきました。
未来への展望
「今は自分がやりたかった仕事ができています。土日は休みにしてますが、一人で事務所に来て仕事をしていることもあります。事務所に来ると落ち着くし、この仕事が好きなんだと思います。」と話す中村さん。
これからは若い世代にバトンタッチを考えているほか、最近は成年後見制度(※)関係の仕事に携わる機会があったそうで、これから力を入れていきたい、と今後の展望をお話しされていました。
※成年後見制度とは、知的障害・精神障害・認知症などによってひとりで決めることに不安や心配のある人が、いろいろな契約や手続をする際にお手伝いする制度
山登りと写真が趣味
中村さんは、山登りが趣味で、お休みの日には日本各地の山へ出かけておられます。
「山登りのルートを自分で決めることと、自分の人生を自分で決めることは通じるものがあるなと感じます。登るか登らないかも自分で決める、でも登らないと見られない風景がある。やめるのは簡単。頂上の同じ風景は二度とみられないんです。」
またカメラも趣味にされているそうです。「写真撮影は福祉と似ています。同じ風景を見ていても切り取り方が違う、人によって見え方が違うなと感じます。違って当たり前と感じ、その違いにみんなの個性や感性を感じるのでとても面白いんです。」
中村さんは、インタビューを通じ、福祉の魅力を自分自身の経験と思いを伝え、学歴や年齢に関係なく誰でも関わることができることを強調されていました。また一方で、福祉の分野での活動が人々の人生に大きな影響を与えることを実感し、楽しみながら仕事をされている様子も伝わってきました。
中村さんの情熱と信念は、福祉への参加を促し、社会全体にポジティブな変化をもたらす一助となることでしょう。