セレクトショップ「!sn’t !t design」
米原市井之口にある「!sn’t !t design」は、田中亜里紗さんとその夫、田中秀典さんが共同で運営するセレクトショップです。岐阜県出身の亜里紗さんは、お店の開業に伴って米原市に移住し、事業や子育てに取り組みながら、地域のイベントやボランティア活動にも積極的に参加しています。今回は、亜里紗さんが米原で感じたことや、特に力を入れている「HALO harmony」(ハローハーモニー)のボランティア活動についてお話を伺いました。
!sn’t !t designの創業
「!sn’t !t design」がオープンしたのは2018年のことです。夫の秀典さんは以前、アウトドアショップのバイヤーとして働いていましたが、長年の夢であった「自分の店を持ちたい」「服屋をやってみたい」という思いから創業を決意しました。当初は雪深い土地にお店を構えたいと考え、長野や新潟で物件を探していたそうです。しかし、亜里紗さんから「秀典さんのお母様が住む滋賀県はどうか」とアドバイスがあり、滋賀県での開業を考えるようになりました。
物件探しは長浜や高島を中心にしていましたが、たまたま立ち寄った米原市で感じた人々の温かさに惹かれ、亜里紗さんの後押しもあり米原での開業を決めました。お店を構える場所に選んだのは、雄大な伊吹山が一望できる土地です。店舗として使用しているトレーラーハウスの前には、秀典さんの愛車である黄色いFIAT500が、お店のシンボルとして置かれています。
店内には秀典さんが厳選したこだわりの服が並びます。滋賀県では取り扱いが当店だけという服も仕入れるそうで、都市圏では売り切れるこれらの商品を求めて、大阪や名古屋からわざわざ訪れるお客様もいるそうです。また、近江真綿などの地元の名産品やこだわりの生産者とコラボレーションも行っており、オリジナルの商品も多数取り揃えています。こうした活動が話題を呼びInstagramを通じて、リピーターも着実に増えているそうです。
米原での暮らしがもたらした変化
開業が決まってからすぐに子宝にも恵まれ、現在は2人のお子さんを育てる亜里紗さん。セレクトショップの運営や子育ての合間を縫って、地域のイベントやボランティア活動、米原市商工会の女性部活動にも積極的に参加しています。「女性部活動では、7月に行われた“息吹の奏”(米原市内で行われる夏祭り)で、焼きそばの屋台をお手伝いさせていただきました。来年もぜひ参加したいと思っています」
活動的な亜里紗さんですが、実はもともと人と話すのが苦手で、社交的な性格ではなかったそうです。米原に移住してから考え方が変わり、地域のイベントやボランティア活動に積極的に参加するようになったといいます。「最初は不安でしたが、米原の方々はとても優しく、私も自然と積極的に参加したいと思えるようになりました。年齢の離れた方々ともお話する機会があり、さまざまなことを教えていただきながら楽しく過ごしています」と話します。夫の秀典さんやご両親も、亜里紗さんの変化に驚きながらも、嬉しく思っているそうです。
ママ友仲間と取り組む「HALO harmony」
数々の活動に参加している亜里紗さんですが、特に力を入れているのが「HALO harmony」という子供服のリサイクルを目的としたボランティア活動です。子供たちの成長が早く、サイズアウトする服が多くなるという悩みから生まれたこの活動は、約2年前に始まりました。定期的に開催される販売会では、参加者が持ち寄った洋服をチェックし、1着100円の協力金をもらったうえで販売しています。販売できない洋服は、はぎれとして再利用したり、ワークショップの材料として活用するなど、無駄を出さない工夫もされています。
「運営メンバー5人のうち3人が働いているので、普段はLINEでやり取りしつつ、土日に子供たちを一緒に遊ばせながら打ち合わせをしています。今は春照の杉沢みどりの家(元みどり保育園)を借りて、毎月平日に1日と土曜日に販売会を行っていますが、将来的にはHALO harmonyとして常設の店舗を持つことが目標です」と話します。
※HALO harmonyの活動情報はこちらから
【公式Instagram】:HALO harmony(@halo_harmony_friends) • Instagram写真と動画
子育てを通じて感じた米原への思い
亜里紗さんは、米原が非常に子育てしやすい場所だと感じているそうです。そして、家族で暮らしていく中で、「米原で生まれ育った子供たちに、この街を自慢に思ってほしい」という気持ちが強まってきたといいます。「自分のルーツとなる“ふるさと”がしっかりあると思える子は、たとえ地元を離れることがあったとしても、どこに行っても頑張れると思います。米原を自慢の“ふるさと”と思ってもらえるような、米原が元気になるようなことをこれからできたら良いなと思います」と語ります。
また、「自分の事業を立ち上げたい」という夢もあるそうで、お子さんが大きくなる頃をめどに形にしようと考えておられるそうです。
亜里紗さんは!sn’t !t designに携わりながら、今後も地域に根ざした様々な活動に取り組む予定です。そして、「HALO harmony」でかなえたい目標や亜里紗さんの夢を、秀典さんやご家族の協力を得ながら実現していかれることでしょう。